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第13回 リスクベースアプローチの発想

2020.06.23

国家公安委員会が公表している「犯罪収益移転危険度調査書」というものを聞いたことがあるだろうか。金融機関において金融犯罪対策(マネロン対策)やFATF対応を担当している人が、自社のリスクに対して社内におけるリスク認識を共有すること、そして適切な低減策を講じることを目的としたリスク評価書を作成する際に参照する調査書である。なお、リスク評価書は簡単に説明すると、社内外の環境および自社のお客さまの特性や取引状況を客観的に確認し、自社におけるリスクをとらえて記載しているものである。

犯罪収益移転危険度調査書を見ていくと、リスクベースアプローチという言葉が出てくる。これは、リスク評価書などを通じて、自らが行う取引の危険度を的確に把握したうえで、膨大な数の取引について、マネーローンダリング(不正利用)の疑いがあるかどうかを的確に判断するためには、全ての取引の状況を一律に確認するのではなく、危険度の高い取引については通常の取引よりも厳格に確認するなどの方法によることが効果的であるという考えである。

この考え方は、不正対策の現場の運用を考えるうえでも非常に参考になる。リスクが多少あると思っているアカウントにおいて、不正利用の兆候を検知した際には、高リスクに近づいていることになり要注意の継続監視が必要となる、一方で、全くリスクが全くないアカウントにおいて不正利用に似た兆候があったとしても、継続監視が不要であることが多い。当然のような話をしているが、これ実現するにあたっては、アカウントごとのリスクが評価されているために運用ができているとも言える。

このリスクベースアプローチの発想は、どの業界においても不正対策を効果的かつ効率的に行う時には、欠かすことができないものである。「犯罪収益移転危険度調査書」において危険度の高い取引に係る要素として、「取引形態、国・地域、顧客の属性」が挙げられている。また、危険度の低い取引の要因も挙げられており、金融機関以外の不正対策の担当者が自社サービスにおいてリスクベースアプローチの発想を取り入れようとする際には参考になる。また、不正対策の仮説を作る際に、事例が豊富であると共に、様々な業界団体の動きも把握することができるため、有効である。

犯罪収益移転危険度調査書は、毎年公表されており、過去のものも参照することができる。過去のものと、直近のものを見てもらえると、攻撃の手口の高度化や変化についても見てとることができ、不正対策を検討する際の参考になる。

 

安田 貴紀

執筆者: 安田 貴紀

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