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第12回 疑わしい取引の届出

2020.06.16

疑わしい取引の届出は、金融機関のコンプライアンス部門などでは「ウタトリ」という略称で呼ばれることが多い。この言葉は、金融機関等の特定事業者でない方は、なかなか耳にする機会は少ないと思うが、疑わしい取引の届出については、「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)」において特定事業者の義務として定められているものである。そのため、インターネットにおいて公開されている疑わしい取引に関連したガイドラインなどは、企業で不正対策を担当する人には参考となる情報が含まれている。特定事業者でなくても不正対策を担当する人は、疑わしい取引の届出については、目を通していただきたい。

疑わしい取引の届出について簡単に説明をする。この制度は、金融機関等の特定事業者から犯罪による収益のおそれのある疑わしい取引に関する情報を集約してマネーロンダリングに関する捜査に役立てることを目的にしている。そして、犯罪者に金融機関等の特定事業者が利用されることを防止し、特定事業者における社会からの信頼を確保するものである。金融機関等の特定事業者から届出された疑わしい取引に関する情報は国家公安委員会(警察庁)で集約されて、その情報の分析が行われ、捜査機関等に情報提供され捜査に活用されている。

疑わしい取引に繋がる疑いがあるか否かは、サービスの内容、お客さま毎の取引内容や頻度、属性等によっても異なる。特定の取引が何回以上ある場合、一律、疑わしい取引であると断定することはできないが、各業界向けに疑わしい取引に該当するかどうかの目安になるものがガイドラインとして公表されている。
それが「疑わしい取引の参考事例」である。これは、参考事例を例示しているものなので、この事例と合致するものが全て疑わしい取引に該当するものではない。サービスの内容、お客さま毎の取引内容や頻度、そして属性等を踏まえて判断する必要がある。そして、事例に該当しないものであっても特定事業者として疑わしい取引に該当すると判断したものは届出の対象となる。

疑わしい取引の届出制度について、詳しく知りたい方は、JAFICから公表されている「犯罪収益移転防止法の概要(令和2年4月1日以降の特定事業者向け)」を参照いただければと思う。本資料内「特定事業者と犯罪収益」にて、特定事業者ごとのケースが紹介されており、各業界で発生している不正の手口などがわかりやすく記載されている。不正対策の担当する人は、この記載を参考に業界で起きている不正の手口のイメージを掴んでもらいつつ、各業界の「疑わしい取引の参考事例」を見ていただくとより理解しやすいと思う。

<JAFIC「犯罪収益移転防止法の概要」の"特定事業者と犯罪収益"より>

  • ・金融機関等(仮想通貨交換事業者)と犯罪収益
  • ・ファイナンスリース事業者と犯罪収益
  • ・クレジットカード事業者と犯罪収益
  • ・宅地建物取引業者と犯罪収益
  • ・宝石・貴金属等取扱事業者と犯罪収益
  • ・郵便物受取サービス業者と犯罪収益
  • ・電話受付代行業者と犯罪収益
  • ・電話転送サービス事業者と犯罪収益

なお、各行政庁において所管事業者向けに疑わしい取引に関するガイドラインが作成・公表されている。同ガイドラインでは、 "情報"というワードをよく見る。このことからも企業での不正対策(疑わしい取引を見つける)においては、情報が重要であり、その情報をどのように分析し、活用するかがポイントとなる。

不正検知プラットフォーム「Detecker(ディテッカー)」は、銀行での金融犯罪対策における実務経験を元に開発したものである。不正口座対策(AML)、疑わしい取引の届出(ウタトリ)、FATF勧告の基本となるリスクベース・アプローチに役立つ機能を有している。そのため、銀行だけでなく証券会社、クレジットカード、ECなどの事業者においても、疑わしい取引(アンチマネーロンダリング)の検知や不正アカウント開設防止において、実際に銀行で行っている不正対策(マネロン)のレベルに「Detecker(ディテッカー)」を導入いただくと引き上げることができるので、ご興味のある場合はお声がけを頂きたい。

 

安田 貴紀

執筆者: 安田 貴紀

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